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Archive for April, 2014

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今年も新緑の外ヨガ・シーズンがやって来ました♪

ヨガ・ソレイヤード恒例の新宿御苑、春のイベントの季節です。緑の中で、思う存分手を広げて太陽礼拝を味わいませんか。

初心者の方、昨年来られた方も、ヨガでカラダをほぐした後は、芝生の上で、サンドイッチ・ランチをみんなで手作り♪

ちょっとしたピクニック気分も一緒に頼めるお得なイベントです。

 

参加費用: 2800円(ペアチケット 3000円、会員は1500円で2名まで同伴可能)

場所:新宿御苑

開催日時: 5月18日(日)11:00-13:30(集合時間は10:30)

お申込み: Tel:090-5527-223

Meil: yogasoleillado@gmail.com

申込締切: 5月10日(日) 人数は25名までで、締め切らせていただきますので、お申し込みはお早目にどうぞ!!

お気軽にお問合せくださいね。

 

 


凍らない話

アレクサンダー・テクニークで読む『メニューイン/ヴァイオリン奏法』(序章)

まず序文です。メニューインはここでバイオリンを習得する上での難しさについて以下のようにまとめています。

-ヴァイオリンという楽器をマスターする上での特別な難しさ、そのためにとくに要求される、いくつかの点について考えてみよう。まず、楽器を支持するための、固定的な不動の支点ががなにもないこと、があげられる。ヴァイオリニスト自身にとっても、バランスをとりながら床に触れている、足の裏の部分をのぞいて、不動の支点はいっさい存在しない。ヴァイオリンは、奏者の流動的な全身運動と一体になって、その波うつような流れ、スイング運動、振子運動、円運動などに、はっきり応じ得る存在にならなければならない。それは身体のあらゆる関節、ヴァイオリンと弓とのあらゆる接触点の、流動的な動きを妨げるものであってはならず、また、その流れの中であらゆる方向に動かせるように訓練を積む必要のある、末端の筋肉や、指関節にまで、その動きを伝えるものでなければならない。

ここで特筆すべきポイントは、固定的な不動の支点がなにもなく、流動的な動きを妨げずに、流れの中であらゆる方向に動かせるように、というところです。

これは意外と大事なことで、楽器の構え方について(それがどのような楽器であれ)、我々は何かこう、このように持っていればどんなシーンにも対応できる、というような決定的な解を求めてしまわないでしょうか?ところがそんなものはないのです。運指やボーイング、曲想とともに刻一刻と変わる楽器と自分との(さらに地球の重力との)関係性をいかに無理なく流動的な動きを妨げずに調和させていくか、これこそが難しいとストレートに言い切っています。構え方についての決定的解があるという発想自体がありません。

アレクサンダー・テクニークでも、頭と脊椎の協調性とともに、全身の関節が動けることを許してあげる、ということを言います。その結果生ずる動きがどんなものであれ、それは体が、重力だったりやろうとすることに必要な力だったりを自己調整する動きです。望むらくはそれで音が良くなればいいのですが、体にとっては音が良くなるかどうかは知ったことではないので、そうならないこともあります(なので、慣れない、新しいやり方を試してみる時にはそれでどんな結果が出てもOKだと思ってやりましょう、ともよく言われます)。でも、結果を先取りしてこれはやっても無駄だとか思わず、まずは実験としてそれを試してみる、やってみると不思議なことに音も良くなる、そんなことが多いのもまた事実です。作為のない自己調整の動きが体のありのままの構造と無理なく合致するからでしょう。

-私が求めているのは、有機的な全体という感覚、わずかな振動をも感じ取る敏感さ、受け入れることへの積極性、動作への確信-動作を支え、信じ、受け入れることである ~ 人は動作に信を置き、途絶えることのない動作の連続性を信じるべきだ-それを信じてさからわずに従い、さらに練習を重ねれば、その信念は必ず動作の流れが完成される軌道へとあなたを導いてくれるはずだ (メニューイン『ヴァイオリンを愛する友へ』)

僕はまだ自分の動作への信頼が足りないのか、2、3小節もすると動きが破綻します。でも、いいのです。ローマは一日にしてならず、千里の道も一歩から、でも、必ず全ての道はローマに通ずると思えば、凍らない構えも最初の1小節からです。

 

 


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今から40年ほど前、世にも奇妙なバイオリンの教本が現れました。メニューイン/ヴァイオリン奏法です。楽器の教本としては、この本は類書に例のない特色があります。まず、音符がほとんど出てきません。音符がほとんどないばかりか、全6章あるうちの最初の1章から2章の前半までは楽器すら触りません。では何が書いてあるかというと、バイオリンを弾くための体の動かし方が文章と挿絵でくどくど説明されているのです。

僕がこの本と出会ったのは最近のことで、もともと、かみさんが音楽家に役立つヨガについて調べる中で見つけてきました(メニューインは、日本でも広まりつつあるアイアンガー・ヨガの創始者アイアンガー師から直接ヨガを学んでいます)。正直はじめのうちは「左親指の第一関節から先の部分を、それを垂直になるまで左方に押して~そうすると親指の腹の部分が斜めに傾斜することにな(り)~そこで右人差し指をそーっと下方に押し下げるならば、左親指の肉が下方に押されてクッションのようになって支えるような形になる」といった具合で、言ってることをイメージするのがかなりめんどくさい本でした。

しかし、アレクサンダー・テクニークの勉強を始めて1年がたち、体の使い方や筋感覚/固有感覚といったことがある程度分かり始めてきたタイミングで読んでみて、これはすごい本だと思いました。書かれているのは、この名演奏家が体の内側でどこをどう動かしているかを詳細に解説したもので、いわば、彼の演奏動作における手順書のようなものなのです。

これはとてもありがたいことだと思います。今日、我々は動画サイトやDVDを通じて名演奏家の動きを自宅にいながら観察することができ、これ自体は、一昔前までは演奏会に出向くか音大で師につくかしなければなかなか得られなかったことに比べて良いことなのですが、見えている動きをただ真似ても、本人が実際にやっていることと同じになるとは限らないという問題があり、その意味でメニューインが自分で自分がどう動いているか書き残してくれたことは貴重なのです。

例えば、図1の矢印のような動きをしたいとします。見える動きは矢印の動きだけです。でも、このような動きを実現する体の使い方は無数にあります。例をあげれば図2と図3の青い矢印のような方向性を持った力です。これは、2つの別々の力を合わせた合力として赤い矢印の動きを作り出しています。図2と図3は力を入れる方向や量は全く別物ですが、結果として現れる動きはどちらも図1と同じ赤い矢印となります。さらに力を増やして図4のように青い矢印を3本にしても結果は同じです。この調子でどんどん力を増やしていっても、結果が同じ赤い矢印になるような組み合わせは無数に作れます。模式的にベクトルの矢印のみで描きましたが、実際の人では、青い矢印はそれぞれ別々の筋肉が働いた時の力の方向と量、赤い矢印はそれらが全部合わさった時の動きの方向と量、になります。青い矢印をどんどん増やしていくこともできますが、ある限界を超えると非効率で疲れやすくなったり、骨格の剛性を超えた力がかかって関節を傷めやすくなることも、ここから容易に想像できると思います。

 図1図2

図3図4

 

先生に言われたとおりに、先生がやって見せてくれたとおりやっているのになかなかうまくいかない。僕自身、そんな経験がたくさんあります。その度に自分は不器用だから、と半ばあきらめていました。でも、目に見えている動きを作るための体の動かし方は無数にあるのですから、それを当てる方が難しいとも言えないでしょうか。

メニューインが秀逸だったのは、体の動かし方を内側から説明しようと試みたことでした。これは本人が不調に悩み、ヨガを実践してきたことと無縁ではないと思います。神童と言われた頃の自分、調子がいい時の自分はどのようにやっていたのかを観察し、筋感覚/固有感覚を研ぎ澄まし発展させてきた言葉で表現したがゆえでしょう。

名演奏家の演奏の秘密をこんな形で明らかにしたものは他に知りません。この本の類まれなる魅力を多くの人と共有したい。そのような気持ちで、これから少しずつ僕なりの理解でこの本から読み取ったことを書きつづりたいと思います。


まちがいさがしクイズ??

コントラバスの弓の持ち方の話。

普通、この話題はフレンチ対ジャーマンで盛り上がるもので、ジャーマン対ウィーンってのはどうも山形対秋田のような、つまり、当事者以外にはどうでもよく、そもそもどこがどう違うか説明しないと分かってもらえない類の話ではあります。

というわけで、瞬速で説明こちら。上がジャーマン式で下がウィーン式、要するに親指が違います。

永島義男著『朝練コントラバス』より

永島義男著『朝練コントラバス』より

ルートヴィヒ・シュトライヒャー著『コントラバス奏法』より

ルートヴィヒ・シュトライヒャー著『コントラバス奏法』より

僕自身はウィーン式ですが師匠がそうだったからというだけで、何のメリットがあるのかも分からずこうなりました。師匠によると、ジャーマンよりも手首を楽にできて、その代わり人差し指と薬指でしか重さをかけないのでひ弱な人には強奏がしづらいそうです。

ただ、師匠も実際には親指に力入れて押さえつけて強い音出してるそうなんでこの辺はどうなんでしょうか?見た目には分からないだけて本家本元のウィーン・フィルでもfでは親指の力使ってるかもと思ったりします。

手首については、ジャーマン式でブラブラするのとウィーン式に親指外してブラブラするのとでは、ウィーン式の方が確かに力を抜きやすいメリットがあるような気がします。ただ、これも熟練した奏者であれば、そんなに言うほどの差になるのかしら?という程度でしょうか。

ところで、先日、タモリ倶楽部でやっていたコントラバス特集を見ていて、おや?と思う場面がありました。リンク先動画1分30秒付近から右手がアップになりますが、ジャーマン式の持ち方でありながら親指が外れてウィーン式っぽくなります。

ははあ、要するにプロほど実戦では形にこだわらないんでしょうね。自分はジャーマンだから、人差し指と親指を常にくっつけてなきゃと思うと手首の柔軟性が損なわれるし、逆にウィーン式だから親指は常に脱力しなきゃと思うと必要な時に必要な力を伝えられないわけで。

今はこういう動画が簡単に見られるのでいいですね。一昔前なら、教則本のたった一枚の写真をお手本にして、いつ如何なる時もその形でなきゃ!と思って、いつまでたってもできるようにならない練習をひたすらやっていたかも。